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肝臓がん(肝がん) 【トピックス】 肝がんの9割以上がウイルス性肝炎から起きています。 その多くはC型肝炎から肝硬変を経て発症します。 ■ 肝臓とは? 肝臓は、胸部と腹部を分ける横隔膜のすぐ下、右上腹部にあり、体重の約50分の1を占める、体内最大の臓器です。 左右2つの臓器に分かれ、右の「右葉」のほうが大きく肝臓全体の約70%、左の「左葉」が約30%を占めます。 肝臓に血液が入るルートには「肝動脈」と「門脈」と呼ばれる静脈があります。 「生体の化学工場」ともいわれる肝臓の働きは、食物から吸収した栄養素の貯蔵と加工(代謝)をはじめ、有害物質の解毒、脂肪や脂溶性ビタミン、鉄などの吸収に欠かせない胆汁酸(胆汁)の生成など、多岐にわたります。 こうした働きは生命維持に不可欠ですが、肝臓は予備力が高く、「沈黙の臓器」といわれるように、障害がかなり進まないと、自覚症状は現われません。 ■ 血液の流れ 肝臓に流れ込む血液は1分間に約1000〜1800ml、心臓が送り出す血液の約25%に相当します。 そのうちの約80%は「門脈」という静脈から入って、肝臓に栄養素を運び込み、残る20%は「肝動脈」から入って、肝臓の働きを支える酸素を供給しています。 ■ 肝がんの種類 肝臓に発生するがんは大きく分けて「肝細胞がん」と「肝内胆管がん」がありますが、その9割以上は肝細胞がんです。 または、肝臓から発生した「原発性肝がん」と、胃や大腸などのほかの臓器で発生したがんから二次的に発生する「転移性肝がん」とに分けられます。 転移性の肝がんは原発性の肝がんよりも治療が難しいのが特徴です。 ■ 肝がんの原因 肝がんの最大の原因はC型やB型の肝炎ウイルスの感染です。 肝炎ウイルスが必ず肝がんを発生させるわけではありませんが、C型肝炎ウイルスが陽性であれば、がんが発生するリスクは通常の500倍、B型肝炎ウイルス陽性では100倍ともいわれ、これらの肝炎ウイルスに感染している人は、やはり肝がんを発症しやすいといわざるを得ません。 多くはC型慢性肝炎から肝硬変を経て発症します。 ■ 主な症状 かなり進行しないと症状は出ません。 主に「肝硬変」と同じような症状が現われます。 −初期− ・食欲不振 ・倦怠感 ・腹部の膨満感 ・便秘や下痢 ・突然の腹痛 ・貧血 など −症状が重い− ・黄疸 ・腹痛 ・腹水 ・発熱 ・肝性昏睡 など −肝硬変がさらに進むと− ・くも状血管腫 ・手掌紅斑 ・腹部の静脈が浮き上がる ・下半身がむくむ ・女性化乳房 など −肝がんそのものによるもの− ・強い脱力感 ・右の肩甲骨の痛み ・みぞおちのしこり ・腹部の腫れや痛み ・体重の減少 ・黄疸 など ■ こんなサインに注意! 1. むくみ‥‥‥‥‥‥‥‥‥日常よく経験されるむくみは、夕方から夜にかけて現われやすく、朝に なれば自然と消えているものです。
朝になっても治らないむくみがあれば、要注意です。 2. 軽くお腹が張る‥‥‥‥‥肝硬変では、右葉が萎縮して左葉が大きくなる傾向があります。
左葉は胃の真上に位置するため、胃が圧迫されて、お腹が張ります。
食欲がなく、食事をしてもすぐに満腹感を覚えることがあります。 3. 色の濃い尿‥‥‥‥‥‥‥ウーロン茶のような、非常に色の濃い尿が出た場合には、黄疸が疑われ
ます。
眼の白目の部分が黄色くなるのも、黄疸のサインです。 4. 青あざができやすい‥‥‥肝硬変では、出血時に血が止まりにくくなります。 そのため、どこかにぶつけたなどの覚えがないのに、青あざができていることがよくあります。 ■ 検査 血液検査や画像検査で肝機能や腫瘍の有無を調べます。 ○ 血液検査 1.肝機能検査‥‥‥‥‥‥‥血液中の「GOT(AST)」と「GPT(ALT)」の値を調べます。 この2つは肝細胞に含まれる酵素で、肝細胞が破壊されると血液中に増えてくるため、その数値が基準値よりも高い場合は、検査時の肝機能の異常(肝炎)が疑われます。 2.ウイルスマーカー‥‥‥‥肝機能検査で異常が見られた場合は、B型やC型の肝炎ウイルスに感染 しているかどうかを調べます。 3.腫瘍マーカー‥‥‥‥‥‥肝がんを発症すると、血液中に「AFP」「AFP-L3分画」 「PIVKA-U」などの物質(腫瘍マーカー)が増えることから、これらの量を測ることによって肝がんの有無を調べます。 ○ 画像診断 1.腹部超音波検査‥‥‥‥‥患者さんへの負担が軽く、1〜2p程度の小さな腫瘍も発見できることから、スクリーニングのために最もよく行なわれています。 2.CT検査‥‥‥‥‥‥‥‥肝硬変によって肝臓が萎縮して変形が著しい場合など、超音波検査ではわかりにくいがんの発見や、悪性度の診断に有効です。 3.MRI検査‥‥‥‥‥‥‥肝臓内にあるしこりが良性か悪性かを判断するのに有効です。 4.肝血管造影検査‥‥‥‥‥肝がんの血流の状態や血管浸潤の有無を調べる検査です。 5.肝生検‥‥‥‥‥‥‥‥‥超音波画像で観察しながら、体表から細い針を刺して肝細胞の一部を採取し、顕微鏡で調べる検査です。 ■ 病期の分類 肝がんの病期は、「がんの大きさ」「がんの個数」「がんの血管への浸潤」から、T〜W期に分類されます。これは「がんの進行度」を表し、進行度に応じて治療法が決められます。 <診断の3つの条件> ・ がんの大きさが直径2pを超える ・ がんが2つ以上ある ・ がんが血管の中に広がっている
■ 治療 <手術療法> 1. 肝切除術‥‥‥‥‥‥‥‥肝臓は、もともと予備能の高い臓器で、健康であればその70%を 切除しても問題がないといわれています。 肝機能が十分に残っていることを前提に、がんの数が少なかったり、サイズが大きかったり、がんが肝臓の表面に近かったりする場合に、第一選択となる治療法です。 肝がんの切除をする際には、肝臓内に延びている門脈という血管に沿って分けられた4つの区域(または8つの亜区域)に従って、ブロック単位でがんを切除します。 これは肝がんは血管を通じて転移しやすいので、再発予防を考慮しています。 区域をまたいでがんが広がっている場合は、複数の区域を切除することになります。 2. 肝移植術‥‥‥‥‥‥‥‥「肝移植」とは、機能が低下した肝臓の代わりに健康な肝臓を移植する 方法です。 適応となるのは、肝機能が著しく低下し、肝切除ができないケースです。 <非手術療法> 1.肝動脈塞栓術(TAE)
‥肝がんでは、がん細胞は、門脈ではなく、肝動脈から栄養や酸素を取り込んで成長します。
そこで供給路である肝動脈を塞ぎ、がん細胞を「兵糧攻め」のように壊死させるのが、この治療法です。
がんの数が多い場合や、約3〜4cmに大きくなった進行がん、転移性がんの治療に向いており、内科的治療では最も多く行われています。 2.エタノール注入法‥‥‥超音波画像でがんの位置を確認したうえで、体表面から長い針を刺して、 (PEIT)
エタノール(エチルアルコール)をがんに直接注入する治療法です。 エタノールにはたんぱく質を凝固させる作用があり、これによって、がん細胞を瞬時に固めて壊死させます。 副作用も少なく、比較的簡便な治療法です。 ただし、適応は直径が3cm以下で、がんの個数が3個以内のときに限られます。 3. マイクロ波凝固療法‥‥マイクロ波凝固療法は、電子レンジと同じ原理で「マイクロ波」により水 (PMCT) の分子を振動させて急速に高熱を発生させ、その熱でがん細胞を焼き固める治療法です。 通常3cm以下のがんに適応とされます。 4. ラジオ波焼灼療法‥‥‥マイクロ波とは異なる周波数の「ラジオ波」を使用して、がん細胞を焼き (RFA)
きるという治療法です。
マイクロ波に比べて用いる針が細く、温度が低いため、焼く範囲をコントロールしやすく、正常な組織まで焼く危険性が低いという長所があります。 1回で焼ける範囲も3〜4cm程度と、マイクロ波よりも広範囲の治療が可能です。 ■ 治療後の生活 「肝切除」の手術後には、肝細胞が再生し、日常生活を送れる程度に肝機能や体が回復するまでには、時間がかかります。そのぶん入院期間も長くなります。 退院後も疲れをため込まないようにし、肝臓の修復を促します。 「内科的療法」では、入院期間が短く、肝臓への負担は切除術ほどではないものの、多少は肝機能の低下があると考えて、無理をしないことが大切です。 ただし、「ラジオ波焼灼療法」は、負担が軽いため、比較的早くから日常生活に戻ることが可能です。 ただ、忘れてはならないのが、再発しやすいという点です。 一般に、治療後1年間は毎月1回、その後は3ヶ月に1回、超音波検査や造影CT、腫瘍マーカーを定期的に受けて、再発の有無を確認するアフターケアが大変重要です。 なお、術後は必要に応じて、再発や肝臓の炎症、繊維化を抑える治療も続けます。 |
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