|
|||
|
|
|||
膵臓がん
【トピックス】
増加傾向にあるがんで、今でも早期発見、治療が難しいがんです
■ 膵臓とは?
膵臓は、胃の背中側にある長さ約15pの細長い形をした臓器で、頭部は十二指腸に、尾部は脾臓に接しています。
膵臓は強力な消化酵素を含む「膵液」をつくって分泌する「外分泌」と、血糖を調節するホルモンを血液中に分泌する「内分泌」の、2つの働きがあります。
膵臓の中央には膵液が流れる「膵管(主膵管)」が走り、胆汁の流れる胆管と合流して十二指腸に開口しています。
■ 膵液の流れ
膵臓でつくられた膵液は、主膵管に集まって総胆管と合流し、ともに十二指腸に流れ込みます。
■ 膵臓がんの種類
膵臓が体の奥深くにある臓器であることに加え、浸潤が起こりやすいことや、正常な組織にがんがまばらに広がるために検査でとらえにくいことなどから、膵臓がんは、早期発見がとても困難ながんです。
膵臓には外分泌(膵液分泌)のための細胞と、内分泌(ホルモン分泌)のための細胞があり、どちらの細胞からも腫瘍が発生することがあります。
外分泌のための細胞から発生する、「外分泌腫瘍」が大多数で、いわゆる膵臓がんは外分泌腫瘍の一種です。
一方、内分泌のための細胞から発生する腫瘍を「内分泌腫瘍」といいます。
<膵外分泌腫瘍>
・ 浸潤性膵管がん(膵臓がん)
・ 膵のう胞腫瘍
・ 膵管内腫瘍(主に粘液産生膵がん) など
<膵内分泌腫瘍>
・ 機能性腫瘍(グルカゴノーマ、インスリノーマ、ガストリノーマなど)
・ 非機能性腫瘍
■ リスクの高い人
・ 喫煙者
・ 50歳以上(男性が多い)
・ 糖尿病や慢性膵炎の患者
・ 膵臓がんを発生した血縁者がいる人
・ 遺伝的養陰がある人
■ 症状
特有の症状はありません。
がんが大きくなることで、「腹痛、背部痛、食欲の低下」などが現われることがありますが、これらの症状は、ほかの原因でも現われるごく一般的な愁訴なので、たとえ症状が現われていても、すぐに膵臓がんによるものとは考えないのが普通でしょう。
ただし、膵頭部のがんは黄疸が見つかることもあります。
■ 検査と診断
○ 血液検査・尿検査
膵臓で分泌されている消化酵素のアミラーゼが、血液中や尿中にどれだけあるかを調べます。
膵管に障害があると値が高くなりやすく、早期の膵臓がんでは、約半数の人で高くなります。
ただし、がんが進行すると膵臓の機能が低下して酵素の分泌が減少するためにアミラーゼ値も高くならず、膵臓がんの患者さん全体では、約20%の人しか高い値を示しません。
また、アミラーゼ値は急性膵炎や慢性膵炎でも上昇することがあります。
○ 画像検査
膵臓がんの発見に効果的なのが、画像検査です。
1.腹部超音波検査‥‥‥‥‥医療機関での最初の検査、あるいは検診などにも広く使用され
ています。
しかし、腹部にガスがたまっていたりすると見えにくく、膵頭部や膵尾部に見えない部分があるのが欠点です。
ただ、主膵管にがんができると体部や尾部の主膵管が膨らむため(間接所見)、発見の手がかりになります。
2.超音波内視鏡検査‥‥‥‥胃に内視鏡をいれ、内視鏡の先端から超音波を発信して画像化します。
鮮明な画像が得られますが、普通の超音波検査と違って時間がかかります。
3.CT検査‥‥‥‥‥‥‥‥膵臓がんを発見するためには、造影剤を使った「造影CT」がひつようです。
CT検査は超音波検査よりも精度が高いのですが、2p以下の膵臓がんでは、超音波検査でもCT検査でも、発見しにくいのが現状です。
3.ERCP‥‥‥‥‥‥‥‥十二指腸まで内視鏡を入れ、膵管にカテーテル(細い管)を挿入して造影
(内視鏡的逆行性胆管膵管造影法) 剤を注入し、エックス線撮影を行います。
膵管を鮮明に描出できる検査で、膵管から発生する膵臓がんの検査としては最も優れています。
ただし、検査によって膵炎を起こす危険性があるのが欠点です。
4.MRCP‥‥‥‥‥‥‥‥MRI(磁気共鳴画像)を利用して膵管を画像化します。
(磁気共鳴胆管膵管撮影法)
造影剤を使わないためERCPより安全ですが、膵管の分枝(枝分かれした細い管)を鮮明に描出できないのが欠点です。
○ 腫瘍マーカー(CA19−9など)
進行がんでは、約70%の患者さんが高い値を示します。
しかし、2p以下の膵臓がんの場合には、高くなる患者さんが30%ほどなので、早期発見にはあまり役立ちません。
経過観察に使われることがあります。
■ 病期の分類
|
病期 (ステージ) |
診断 |
主な治療方法 |
|
T期 |
がんは膵臓内にとどまっている |
手術療法が第一選択 術前、術中または術後に放射線治療や化学療法を単独または併用で行う |
|
U期 |
がんは十二指腸や胆管、周囲の組織に浸潤しているが、転移はしていない |
放射線治療や化学療法を単独または併用で行う |
|
V期 |
原発巣の状態にかかわらずリンパ節に転移している |
|
|
Wa期 |
がんは胃、脾臓、結腸、大血管(門脈や腹腔動脈など)へ広がっている |
対症療法、緩和療法を行う 全身化学療法が中心 |
|
Wb期 |
遠隔転移している |
■ 治療
がんの進行度や患者さんの全身状態などを考慮して、治療法が選択されます。
○ 手術療法
がんが膵臓内や、膵臓の近くにとどまっている場合に行われます。
がんを含めて膵臓を部分的に切除します。
がんのできている部位によって、切除範囲が異なります。
1.膵頭十二指腸切除‥‥‥‥膵頭部にがんができている場合に行われます。
膵頭部だけでなく、十二指腸を全部、胃の一部、胆のうなどを切除します。
残った膵臓は小腸につなぎ、分泌された膵液が小腸に流れ込むようにします。
2.尾側膵切除‥‥‥‥‥‥‥膵体部や膵尾部にがんができている場合に行われます。
膵頭部側を残し、がんができている膵尾部側を脾臓とともに切除します。
膵頭部が残るため、膵液は主膵管を通って十二指腸に分泌されます。
3.膵全摘‥‥‥‥‥‥‥‥‥がんが膵臓全体に広がっているような場合に行われます。
膵臓を摘出すると、膵液を分泌する外分泌機能も、インスリンなどを分泌する内分泌機能も失われるため、手術後はそれらを補うために、消化酵素の服用やインスリン注射などが必要になります。
膵臓がんの約80%は手術が行えない段階で発見されます。
その場合は、次のような治療です。
○ 化学療法‥‥‥‥‥‥‥‥がんが膵臓から遠く離れた臓器に転移している場合に行います。
現在、まず用いられるのは「塩酸ゲムシタビン」という新しい抗がん剤です。
○ 放射線療法‥‥‥‥‥‥‥遠隔部位への転移がなく、がんがある程度の範囲に限られている場合に
行われています。
手術が行える場合でも、補助的に併用されることがあります。
○ 化学放射線療法‥‥‥‥‥化学療法と放射線による治療を併行して行います。
使われる抗がん剤は、「フルオロウラシル」と「シスプラチン」の併用が一般的です。
最近は、この治療が行なわれるケースが増えています。
○ 動脈塞栓術+ ‥膵臓に血液を送っている動脈に栓をしていって1本だけを残し、そこに
抗がん剤動脈注入療法
抗がん剤を注入する治療法です。
抗がん剤を全身に投与するのに比べ、高い濃度の抗がん剤を膵臓に送り込むことができます。
抗がん剤としては、5FUとシスプラチンの併用が中心です。
○そのほかの治療‥‥‥‥‥‥広がっていないがんに対して、放射線療法の一種である「重量子線治療」の研究が進められています。