【トピックス】
転移を起こしやすい消化器のがん
男性に多く、喫煙・飲酒が深くかかわっている
■ 食道とは?
食道は消化器系のはじまりの部分であり、咽頭から横隔膜を貫通して胃までをつなぐ管状の筋肉質の器官です。
口からとり入れた食べ物はすべて、この食道を通って胃へ運ばれます。
成人の食道は、長さ約25p、直径2〜3cmです。
食道の断面は前後にやや扁平で、管の厚みは4mmほどです。
■ 食道がんとは?
食道がんは食道の内壁を覆っている粘膜から発生し、増殖します。
がんが大きくなると、食道の壁を形成している筋肉の層に達するようになります。
筋肉には血管が多くあるため、がんが大きくなると、がん細胞が血流に乗って遠く離れた臓器に転移するようになります。
また、さらに大きくなったがんは、食道の壁を突き破って、周囲にある気管や気管支、肺、心臓などの臓器にまで広がっていく。
食道がんは、細胞の種類によって、「扁平上皮がん」と「腺がん」に分類することができます。
粘膜の「扁平上皮細胞」から発生するのが扁平上皮がんで、「腺上皮細胞」から発生するのが腺がんです。
日本人の食道がんは扁平上皮がんがほとんどで、約95%を占めているといいます。
一方、欧米では腺がんが半分以上を占めており、この点で大きな違いがあります。
■ 症状
・ ノドの違和感‥‥‥‥‥‥食道がんの自覚症状で最初に現れるのは「ノドの違和感」です。
食べ物を飲み込んだときにチクチクと痛んだり、熱いものを飲んだときにしみたりします。
がんが大きくなると、食べ物がノドにつかえるようになります。
さらに大きくなれば、食べ物はもちろん、飲み物も通らなくなります。
また、大きくなったがんが背骨や肺を圧迫して、胸や背中の痛みを引き起こすこともあります。
初期にはほとんど自覚症状が出ないため、早く見つけるには、自覚症状のない段階で内視鏡検査を受ける必要があります。
■ リスクの高い人
1.60歳代以上の人
2.男性(女性の3〜6倍)
3.飲酒・喫煙が習慣化している人
4.バレット食道(胃からの逆流による刺激によって食道の粘膜細胞が変化した状態)
5.硝酸塩、亜硝酸塩を含む食物(ハム、ベーコン)をよく食べる人
■ 検査
食道がんが疑われるときは、まず「食道X線造影」と「内視鏡検査」を最初に行います。
1.食道X線造影‥‥‥‥‥‥バリウム溶液を飲んで食道内部をおおい、その輪郭をX線で撮影するものです。
食道が狭くなっていないか、がんによって穴が開いていないかを調べます。
2.内視鏡検査‥‥‥‥‥‥‥のどの奥に軽い麻酔をかけ、内視鏡を食道に挿入し、食道内部を直接観察するものです。
はっきりと見えない場合には、食道の壁に「ルゴール液」を散布して観察する「ルゴール染色法」が行われます。 正常な細胞はルゴール液で茶褐色に染まりますが、がん細胞は染まりません。
そのため、がんのできている部分だけ色が白く抜けて見えます。
より詳しくがんの広がりを調べて、病期を判定するには
3.血液検査‥‥‥‥‥‥‥‥食道がんに特異的な腫瘍マーカー(がんの目印となる物質)は発見されていませんが、血液中にSCC抗原やCEAなどの成分を調べます。SCC抗原やCEAは一般に、進行がんやがんの再発した場合に上昇します。
4.超音波診断‥‥‥‥‥‥‥内視鏡の先端についた超音波発信装置から食道の壁に超音波を当てます。
その反射像でがんが食道内壁にどの程度まで浸透しているかがわかります。
5.CT、PETスキャン‥‥CT(コンピュータ断層撮像法)では、体を端から薄くスライスするように、X線で得られた体内の映像を立体的にコンピュータで再現し、がんがどこに転移しているかを調べることができます。
PETスキャン(陽電子放射断層撮像法)は、放射性物質をつけたグルコース(ブドウ糖)を静脈内に注射して行います。
がん細胞は正常な細胞よりも大量の栄養を消費するため」、より多くのグルコースを吸収し、その様子を映像化して、がんの転移の様子を調べます。
■ 食道がんの病期
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病期
(ステージ)
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診断
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主な治療
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0期
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がんが粘膜にとどまっており、かつどこにも転移していない。
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内視鏡手術
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T期
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がんが粘膜にとどまっているが、近くのリンパ節に転移がみられる状態。
あるいは、がんが粘膜下層まで達しているが、転移がみられない。
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手術療法
放射線化学療法
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U期
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がんが固有筋層を超えて、食道壁の外にわずかに出ている。
あるいは、がんに近接するリンパ節にのみ転移がみられる。
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手術療法
放射線化学療法
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V期
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がんが明らかに食道の外まで出ている。
あるいは、食道壁に沿っているリンパ節に転移がみられる。
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手術療法
放射線化学療法
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W期
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がんが食道周囲の臓器に広がっている。
あるいは、がんから遠く離れたリンパ節、ほかの臓器などに転移がみられる。
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放射線化学療法
放射線療法
化学療法
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■ 治療
<手術療法>
1.内視鏡手術‥‥‥‥‥‥‥内視鏡手術は、患者の体にあまり負担をかけず、術後の傷跡も目立たないのが特徴で、大きく2つあります。
ノドから食道の内側に局部麻酔をかけてがんを焼ききる「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」とレーザーを使ってがん細胞を破壊する「レーザー治療(光線力学療法)」とがあります。
2.開腹手術‥‥‥‥‥‥‥‥食道がんの治療でもっとも一般的な方法が、外科手術です。
これは、体内からがん病巣と転移している可能性のあるリンパ節を切除し、胃や小腸などを使って、食道の代わりとなる食べ物の通り道を再建する治療法です。ただ、手術による身体的な負担が大きいのに加え、治療後の食事量が減ることがあります。
<放射線治療>
放射線治療には、がんの治癒を目指す「根治治療」と、がんによる痛みや転移などを緩和する「対症治療」があります。
放射線治療を行なうと、食道の形状や機能を温存できますが、がんを取り残す可能性もあるため、手術可能な場合は外科手術を選択します。
<化学療法>
現在では、フルオロウラシル(5-FU:代謝拮抗剤)とシスプラチン(プラチナ製剤)の2剤を組み合わせた化学療法がもっとも広く用いられています。
<放射線化学療法>
放射線治療と化学療法を同時に進めていく治療法です。
併用することにより、単独の場合よりも良好な治療効果が得られます。
この治療は、手術のできない進行がん患者だけではなく、手術の前後にも行われています。
<QOLを高めるための治療>
1.食道内挿管法‥‥‥‥‥‥がんが大きくなると、食道が狭くなり、食べ物が通らなくなります。
そこで、食べ物を食べられるようにする目的で行なう手術です。これは、食道の内側にシリコンゴムや金属のメッシュでつくった管(ステント)を挿入し、食道を広げたり、壁に開いた穴をふさいだりする方法です。これによって患者さんは通常の固形物を食べられるようになり、物が食道の穴から胸腔内に漏れ出すのも防ぐことができます。
2.食道バイパス術‥‥‥‥‥ステントの留置が不可能な症状では、食道の病巣はそのままにしておき、食べ物が通る新たな道をつくります。
■ 治療の組み合わせ
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組み合わせ
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主な対象
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治療の内容
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内視鏡的粘膜切除術
+
放射線化学療法
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T期
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まず、画像検査で確認されたがんを内視鏡的粘膜切除術で取り除く。
その後、画像検査では発見できないリンパ節への転移に対して放射線化学療法を行い、再発を防ぐ。
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放射線化学療法
+
内視鏡的粘膜切除術
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T期
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根治を目的として放射線化学療法を行い、局所に再発したがんを内視鏡で切除する。
外科手術に耐えられる体力が残っていない場合でも受けられるケースが多い。
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術前放射線化学療法
+
外科手術
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U期〜
V期
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外科手術を見込んで、放射線の量を少なめにした放射線化学療法を行う。
十分な効果が得られた場合は継続して行い、効果が得られなかった場合は、外科手術に切り替える。
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■ 治療後
食道がんの治療後数ヶ月は、月に1度、検査を受ける必要があります。
とくにがんが進行していた人ほど、治療後の再発などに注意が必要です。
思うように食べ物を食べられるようになってからは、年数回の検査を受けることになります。
また、食事は回数を分けて少しずつゆっくりと、よくかんで食べるようにします。
また、胃液などが逆流しやすくなるので、「食べた後すぐ横にならない、寝るときは上半身を少し起こし気味にする」などの注意が必要です。