胆道がん  癌ってどんな病気?
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胆道(胆のう・胆管)がん

 

【トピック】

胆のうや胆管など、胆汁の通り道にできる「胆道がん」は頻度の高いがんではありませんが、近年、増加傾向にあります。

もっとも治療困難ながんのひとつです。

 

     胆道(胆のう・胆管)とは?

胆のうは、肝臓の下にある「なす形」をした容量約50mlの袋状の臓器で、肝臓でつくられた胆汁を一時的に貯蔵し、濃縮する働きがあります。

十二指腸に食べ物が入ると放出されるホルモンにより胆のうが収縮し、胆汁が送り出されます。

胆管は、胆汁が流れていく管で、肝細胞の間の「毛細胆管」から「細胆管→小葉間胆管→肝内胆管→肝管→総胆管」と続き、最後は十二指腸につながっています。

 

     胆汁の流れ

肝臓でつくられた胆汁は、胆のうで貯蔵、濃縮され、食物が十二指腸に送られてくると、胆のうから総胆管へ送り出されます。

 

     胆道がんの種類

「胆道がん」とは、胆汁の通り道となる胆のうや胆管、そして十二指腸への出口にあたる乳頭部にできるがんです。

「胆道がん」は、がんの部位により、「胆のうがん」と「胆管がん」に大きく分けられます。

     胆のうがん

胆のうには、コレステロールポリープなどの隆起性病変が発生しますが、そのほとんどは良性のもので、心配はありません。

しかし、まれに悪性のがんがあります。

「胆のうがん」は女性に多く、好発年齢は60歳以上です。

患者さんの半数以上が、胆石を合併しています。

また、「膵胆管合流異常」という生まれつきの体の構造の問題により、「胆のうがん」が発生することがあります。

乳頭部の周囲の形態的な異常のために胆管に膵液が流入して、慢性的に刺激を受けるのです。

「膵胆管合流異常」は女性に多く、20〜30歳代でも胆のうがんを発生することがあります。

     胆管がん

胆管は、肝臓内の「肝内胆管」と肝臓の外の「肝外胆管」に大別されます。

一般に「肝内胆管」にできるがんは「肝臓がん」として扱われます。

8pの「肝外胆管」は上・中・下の3つの部位に分けられ、そこにできるがんは、上から「上部胆管がん」「中部胆管がん」「下部胆管がん」に分類されます。

肝臓からの出口に当たる肝門部のがんも上胆管がんに含まれます。

最も頻度が高いのは、下部胆管がんです。

これらの胆管がんは男性にやや多く、50〜60歳代に好発します。

胆管と主膵管が合流した出口のある乳頭部に発生する「乳頭部がん」も胆管がんに含まれますが、乳頭部がんの発生頻度に、男女差はありません。

胆管がんもまた、「膵胆管合流異常」が関係しています。

 

     胆道の仕組みとがん

1.胆のうがん‥‥‥‥‥‥‥胆のうは肝臓に接触しているため、がんが肝臓に広がりやすいです

2.肝内胆管がん‥‥‥‥‥‥肝臓内の胆管にできるがんで、通常は肝臓がんとして扱われます

3.上部胆管がん‥‥‥‥‥‥肝臓に最も近い肝門部のがんは、比較的おとなしいがんとされています    

が、切除しにくいがんです

4.中部胆管がん‥‥‥‥‥‥十二指腸と膵臓に近い位置にあります。

              上部、下部に比べて、がんの発生は比較的に少ないです。

5.下部胆管がん‥‥‥‥‥‥胆管がんで最も多いがんです。

              その位置から十二指腸や膵臓にまで広がっていくことがあります。

6.乳頭部がん‥‥‥‥‥‥‥十二指腸への出口にあたる部分の胆管にできます。

              膵臓と十二指腸にも広がりやすいがんです。

 

■ 症状

「胆のうがん」も「胆管がん」も早期には自覚症状はありません。

進行すると黄疸などの症状が現われます。

     胆のうがん

「胆のうがん」は「胆管がん」よりも黄疸などの症状が出るのがかなり遅いといえます。

進行して、がんが大きくなると、右上腹部の痛みを訴える人もいます。

     胆管がん

比較的早期から黄疸が出て、どんどん黄疸が進みます。

胆管は構造上、がんができると塞がれやすいので、胆汁が流れず、黄疸が出やすい傾向があります。

したがって、黄疸がひどくても必ずしも進行がんであるとは限りません。

     乳頭がん

黄疸が出たり消えたりするという状態を繰り返すのが特徴です。

乳頭がんでも黄疸が比較的早くから現われますが、ほかの胆管がんと同じく、黄疸がひどくても進行がんとは限りません。

 

     検査と診断

胆道がんは自覚症状が乏しいため、なるべく早期にがんを発見するには、画像診断と血液検査が必要です。

1.  血液検査‥‥‥‥‥‥‥‥血液検査ではビリルビンのほか、ALP(アルカリホスファターゼ)など

の上昇をチェックします。

また、がん細胞があると検出される特殊なたんぱく質「腫瘍マーカー」も調べます。

胆道がんが進行すると、CEAやCA19-9などの腫瘍マーカーが高値になります。

2.  腹部超音波検査‥‥‥‥‥画像検査では、まず最初に腹部超音波検査が行われます。

                大きさが5o以上のがんなら、超音波検査でほぼ発見できます。

                また、胆汁の流れが阻害されると胆管が拡張するので、胆管の太さを調べることでがんが見つかる場合もあります。

3.  CT検査、MRI検査‥‥胆のうに結石が充満していたり、肥満や消化管ガスのため、超音波検査

では確認しにくいケースなどを詳しく調べる場合に行われます。

がんの存在のほか、がんの大きさや浸潤などの進行度、肝臓や十二指腸、膵臓、リンパ節など周囲へのがんの広がりを調べることができます。

4.  超音波内視鏡検査‥‥‥‥内視鏡を口から十二指腸まで挿入し、胆のうや胆管の近くで超音波を発                 

生させる事で、詳しい検査が可能になります。

              胆のうポリープが良性か悪性かを調べられるほか、小さな胆管の病変の描出、病変の広がり具合がわかります。

5.  PTC‥‥‥‥‥‥‥‥‥覆うぶに小さな孔を開け、肝臓経由で上部胆管に針を刺して造影剤を注 

(経皮経肝胆管造影)       入し、胆管のエックス線造影をする検査です。

                がんによる胆管の詰まりや狭まりを調べるほか、黄疸がある場合は、治療にも応用されます

6.  ERCP‥‥‥‥‥‥‥‥口から内視鏡を挿入して十二指腸まで送り、乳頭部に造影剤を注入して、              

(内視鏡的逆行性胆管膵管造影法) 胆管や膵管にあるがんや閉塞部位を調べます。

                特に、乳頭部がんの診断に有効で、内視鏡像からは良性か悪性かの鑑別がつかない場合は、内視鏡に装着した器具で組織を採取し、生検を行って確定診断をします。

                ERCPもまた、治療に応用できます。

7.  MRCP‥‥‥‥‥‥‥‥MRIを使った検査法で、造影剤を使わずに行えます。

(磁気共鳴胆管膵管造影法)    胆管や膵管の狭窄や閉塞を詳しく検査することが可能です。

8.  PTCS‥‥‥‥‥‥‥‥胆管壁に沿うタイプのがんの発見や、がんがどの程度肝内胆管に及

(経皮経肝胆道鏡検査)      んでいるかを調べる検査で、体外から肝臓経由で胆管に胆道鏡を入れます。

                手術をする際の切除範囲を確定するのにも有効です。

9.  血管造影検査‥‥‥‥‥‥肝動脈や門脈などの血管に、がんが浸潤していないかを調べる検査です。

                手術が可能かどうかの判断のために行われます。

 

     病期の分類

<胆のうがん>

病期

(ステージ)

診断

主な治療法

T期

がんは胆のう内にとどまっている

胆のうのみの切除、または肝臓の一部や近くのリンパ節をふくんで切除する

U期

がんが胆のうの周囲に一部広がっている

近くのリンパ節や隣接する臓器へ浸潤していることがある

胆のうと一緒に肝臓の一部と近くのリンパ節も切除する

切除が不可能な場合は化学療法を行う

V期

がんが胆のうの周囲に広がっている

リンパ節への転移があり、隣接する臓器へ浸潤している

W期

がんは胆のう以外の臓器に広がり、遠くのリンパ節にも転移している

肝臓などへも深く浸潤し、遠隔移転している

対症療法、緩和療法を行う

 

<胆管がん>

病期

(ステージ)

診断

主な治療法

T期

がんは胆管内にとどまっている

手術療法

手術の前後に放射線治療を併用

U期

胆管と隣り合う臓器に浸潤していることがある

または胆管の近くのリンパ節に転移している

V期

胆管と隣り合う臓器に確実に浸潤している

リンパ節転移もU期よりも遠くのリンパ節に転移している

手術療法+放射線治療

放射線治療

化学療法

W期

隣接する臓器へV期よりも深く浸潤している

腹膜播種、腹水に血が混じる

化学療法

 

     治療

<胆のうがん>

胆のうがんの治療は、抗がん剤による化学療法や放射線療法ではほとんど効果が得られないため、手術が基本です。

     早期がんの手術

早期がんとは、がんが胆のうの粘膜・筋層内にとどまっているものです。

この段階であれば治りやすく、胆のうの摘出手術で9割以上は完治します。

     進行がんの手術

進行がんとは、がんが胆のう壁を破って、リンパ節、肝臓や十二指腸などの近くの臓器に浸潤したものです。

胆のうは、近くに重要な臓器やリンパ節が多く、また、胆のう壁が大変薄いため、がんが広がりやすく、進行がんで発見されやすいといえます。

1.肝部分切除術‥‥‥‥がんが胆のうだけでなく肝臓にも及んでいることが推測される場合には、胆のうと一緒に肝臓の一部も切除します。

            もし、がんが明らかに肝臓に及んでいれば、さらに大きく切除を行います。

2.膵頭十二指腸切除術‥がんが膵臓や十二指腸にまで広がっている場合は、胆のうと膵臓の一部、および十二指腸を切除する手術を行います。

            

  <胆管がん>

  胆管は、肝臓、膵臓、十二指腸などの臓器の間を走り、さらに周囲には肝動脈や門脈といった重要な血管があります。

  そのため、胆のうがんよりも手術が複雑で、大手術になることが多いといえます。

  胆管がんは、位置や広がりによって切除する範囲が異なってきます。

     上部胆管がんの手術

がん自体はおとなしいことが多いのですが、上部胆管は肝臓に近く、しかも血管が複雑に走っているため、手術が難しい場所です。

胆管造影か経皮経肝胆道鏡検査を行って慎重にがんがある部位を見極め、取り逃しのないように、胆管と肝臓の左葉右葉どちらかを切除します。

     中部胆管がんの手術

  中部胆管がんでは、膵頭部(膵臓の膨らんだ側)や十二指腸にがんが広がっていることが多いため、

  「膵頭十二指腸切除術」が行われます。

  胆管と膵頭、十二指腸のほか、リンパ節も切除します。

  胃の2/3を切除する場合もありますが、最近では機能温存のため、胃の幽門輪(胃の出口)も含めた胃全部を残すことが多くなっています。

     下部胆管がん、乳頭部がんの手術

下部胆管は、十二指腸や膵頭部が近いため、中部胆管と同じくなるべく胃を温存しながら「膵頭十二指腸切除術」を行います。

乳頭部がんは、ごく早期であれば、内視鏡下で乳頭部切除を行うことがありますが、ほとんどの場合は下部胆管がんと同じく「膵頭十二指腸切除術」を行います。

 

     治療後の生活

手術でどこを切除したかによって、術後に現れる症状は異なります。

「胆のう」や「胆管」を切除すると、下痢や軟便が続くこともありますが、徐々に体が慣れ、3ヶ月ほどで治ります。

「肝」切除をした場合は、一時的に肝機能が低下しますが、肝臓は再生能力が高い臓器なので、一般に術後2週間程度で元の大きさに戻り、肝機能も安定してきます。

「膵臓」や「十二指腸」を切除した場合は、術後の影響が最も大きいといえます。

下痢が続いたり、消化吸収が低下するため体重が増えにくいことがあり、下痢止めの薬や栄養管理、食事指導が必要になります。

「胆管」を切除した場合は、残った胆管を腸に直接つなぐため、逆行性細菌感染を起こしやすくなりますから、胆管炎に注意が必要です。

また、術後は再発がないかを確認するために、1年に1〜2回は超音波検査や、CT検査などを受け、経過観察を続けることが大切です。