PMS(月経前症候群)と漢方
不妊症周期療法は、女性の月経周期の生理的な特徴を基本に、中医学理論と西洋医学理論を結合して考
案された新しい不妊治療法です。
現代医学では、子供がほしい夫婦の望みにこたえる革新的な療法や技術が近年めざましく発展し、以前であれば、子供を持つことをあきらめていた状況の人々にも活路を開きました。
しかし、体外受精・顕微授精や排卵誘発剤・ホルモン療法など、妊娠までのプロセスの一部を人工的に
進行させる方法ばかりが突出して進歩しました。
そのために安易に、それらに頼りすぎる傾向が見られ、妊娠のプロセス全体を支える為の基礎的な改善
がおろそかになっている言えるのではないでしょうか?
PMSって何?
PMS(月経前症候群:Premenstrual Syndrome)とは、月経1〜2週間前に起こる様々な体調不良のことで、月経が始まってしまえば、自然に楽に なってしまう症状の集まりのことです。
PMSの症状は?
月経周期ごと高温期の1〜2週間にわたって、生活に支障をきたすような症状があらわれます。
症状には身体的症状と精神的症状が見られます。
●身体的症状
下腹部膨満感、下腹痛、頭痛、乳房痛、乳房が張る、腰痛、関節痛
むくみ、体重増加、脚が重い、にきび、めまい、食欲亢進、悪心、
ほてり、便秘あるいは下痢、動悸など
●精神的症状
怒りやすい、イライラ、憂鬱、緊張、判断力低下、不決断、無気力、不眠疲れやすい、パニック、妄想、集中力低下、涙もろい、孤独感など
上記以外にも様々な症状があり、複数の症状があらわれます。(症状は人によって様々です。)
PMSの症状は?

PMSの原因は主に性ホルモンのバランスの失調と考えられています。
図の基礎体温表の様に排卵後の高温期にPMSは起こります。
高温期は黄体期ともいい、黄体ホルモンである
プロゲステロンが増える時期です。
プロゲステロンには水分を溜めたり、体温を上げる作用があるので、このホルモンのバランスの失調が影響していると考えられています。
ほかに脳内の神経伝達物質であるセロトニンは、月経前になると低下することがわかっています。
そのため精神的な症状が出るのと考えられています。
PMSの西洋医学的治療
主に薬物療法が行われています。
1.ビタミン剤・ミネラル
ビタミンB6・カルシウム・マグネシウム・ビタミンEなど
2.抗不安薬
精神安定剤(デパスなど)
3.抗うつ薬
選択的セロトニン再取り込み阻害薬などで月経前の脳内セロトニンの量を増やすお薬です。
4.経口避妊薬(ピル)
少量の卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲスチン)を含んだもので、排卵させないホルモン剤です。
中国漢方(中医学)で考えるPMSと漢方薬
中国漢方においてPMSは「肝(かん)」の機能失調と考えます。
中国漢方で言う「肝」とは、全身の「気(き)」や「血(けつ)」などの流れのバランスを調節
している場所です。
「肝」の機能が低下すると「気滞(きたい)」と呼ばれる「気」の流れの滞りがおこります。「気滞」がおこると全身に「気」が行き渡ら
なくなるので、乳房が張る、腹部膨満感等の身体的症状や落ち込む、イライラするいった精神的症状があらわれます。
このような方には「気」の流れ
を良くする「疏肝理気(そかんりき)」の作用のある「逍遥散(しょうようさん)」等を用います。
また、「瘀血(おけつ)」と呼ばれる「血」の滞りがおこります。
瘀血(おけつ)」がおこると全身に「血」が行き渡らなくなり、肩こり、ふらつき等の身体的症状や不眠、緊張等の精神的症状があらわれます。このよう
な方には血液の流れを良くする「活血化瘀(かっけつかお)」の作用のある「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」等をもちいます。
また、「肝」の機能は正常でも「気」や「血」が不足している「気虚(ききょ)」や「血虚(けっきょ)」の状態でも全身に「気」や「血」が行き渡らないため
様々な症状がおこります。
このような方には、「気」を補う「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」の様な「補気薬(ほきやく)」と呼ばれるものや、「血」を補う
「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」の様な「補血薬(ほけつやく)」をもちいます。
漢方では、「抗不安薬」や「抗うつ薬」のように脳神経に無理やり働きかけるものや、「経口避妊薬(ピル)」のようにホルモンバランスを無理やり変える
ものとは違い、身体に負担をかけることなく全身のバランスを整えていくことができます。